嵐音 坪井祐樹 BL小説


一家が味わっただろう苦痛と恐怖と無念の時間を、最後まで使い切るつもりなのだ。「許してくれよ!だって、お前、こうでもしなきゃ、俺と一緒に住んでくれないじゃないかっ!」。音は家の周りを少しずつ移動していく。「それじゃあ、国明さん。僕のこと、怖くないんですか?」。

嘉瑞はがんっと地面をバットで叩いた。粘膜のこすれる感じに、だんだん、体が熱を持ってくる。「う〜ん、どうだろう。……でも、女の子には有効なんじゃないかな」。今日は俺も接待だという返事がきたから、疲れて眠ってしまったのだろう。蘭は意識を失っている若者の顔をじっと見つめてそう呟いた。あって欲しくない。

「僕は平気。いつでもずっと嘉瑞の顔を見ていたいから」。まるで一枚の絵のような二人の美しい姿に見とれていたシーマだったが、はっとして我に返った。

「分かんない。見たことないもん。でも、今夜、部屋を取ってあるんだけど、って、秘密をばらさないから代わりに抱かせろ、みたいな人が言いそうなセリフじゃない?」。双眸を和らげた鷹司が、両手を伸ばし、桜庭を抱きしめようとする。時折すがめるようにして正面を見つめている瞳は、日本人にしては茶色が強い。「惚れた弱み」(…………わあああああ……!!!)寒い。大きく息を吸い込んで言った。二人とも否定してくれないのが悲しい。名前を呼ばれ、激しく揺すられた桜庭は、はじめてそこに鷹司がいることに気づき、それから自分の手を見た。

金色の短くて柔らかそうな髪が風に揺れ、エメラルドグリーンの瞳が優しく細められる。

「仕事があるのか?」。斬りつけた刀を男の身体から引き抜くたびに、血しぶきがあがり、飛び散ってあたりを深紅に染めてゆく。視線が絡み合う。そんな話、聞いたこともない。「お前、最近辛そうだから……」。本気でそれを口にする甲斐の頭をかち割って、中味を大学にでもサンプルとして提供したい気分だ。リアリーは、全身からサーッと血の気が引くのを感じていた。


ボーイズラブ小説作品紹介


最愛のショコラティエ・永田冷人との同棲ももうじき三年目の天野克彦。だが永田は相変わらず仕事第一。特に最近はコンテストのアイデアがまとまらずイライラしっぱなし。克彦は、もう少し自分の事もかまって欲しいという気持ちが抑えきれず永田とケンカしてしまう。そんな中、昔克彦を好きだったという松山と永田に迫る新人・新堀が現れ――人生はチョコレートのように甘くない!?

タイトル:騙せない男ら!
著 者 名:剛しいら
レーベル:ダリア文庫e
発 行 元:オークラ出版

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